図2に炭酸ガスアーク溶接のアーク現象とスパッタ発生を示す。アークによってワイヤの先端は溶融し、溶滴を形成する。これまでの炭酸ガスアーク溶接における溶滴は、ワイヤ径の約2倍と大きく、この大きな溶滴が不規則に揺れ動き、アークの偏向、あるいは溶滴と溶融池の接触によってスパッタが発生する。
この電極であるワイヤ先端に懸垂する溶滴に対して作用する力は、溶滴を保持する力となる表面張力、溶滴を離脱させる力となる重力、アーク電流によって発生する電磁力(アークの中心に向かって垂直に作用)、アークプラズマによって発生するプラズマ気流、の4つがあり、電磁力によって生じるアーク圧力は電流密度の2乗に比例し、溶接電流300A、アーク半径2mmにおける中心部の圧力は716Pa、プラズマ気流は170m/sと試算されている。炭酸ガスアーク溶接におけるアークの特徴は、円柱状のアーク形状にある。この円柱状のアークは、アークプラズマの緊縮によって生じている。アーク緊縮は炭酸ガスの比熱が大きいこと、言い換えると炭酸ガスの解離反応が吸熱反応であることが原因とされている。
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図2 炭酸ガスアーク溶接のスパッタ発生