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第5回

相談例15.JIS Z 3400 「溶接の品質要求事項」要求事項/テクニカルレビューの記録

JIS Z 3400附属書B (ISO 3834-2)に基づいた品質管理を要求されています。次の2点についてご教示下さい。

(1) 品質記録の中に『要求事項/テクニカルレビューの記録』とあるのですが、一般的にはどのような記録様式となっているのでしょうか。またJIS Z 3400に記載されているレビュー項目の記録は、どのようにすればよいのでしょうか。

(2) テクニカルレビューについてはどの時点で実施すべきでしょうか。JIS Z 3400には「計画の初期段階に考慮する。」とありますが、次のような場合、どちらが正しいのでしょうか。溶接要員の適格性という項目の場合、溶接をする予定になっている要員の適格性があるという解釈なのか、溶接をしたあとに要員の適格性があったことを確認するのか。また、検査及び試験という項目の場合、予定している検査内容で問題がないことの確認なのか、実施された検査に問題がなかったことの確認なのか。

回答

品質記録ー要求事項/テクニカルレビューの記録 について、ただJIS Z 3400に従って品質管理をせよと要求されているだけで、特別の要求は無いものとして、回答させて頂きます。客先に特別要求がないかどうかを 確認されるのが良いと思います。

(1) 記録様式

JIS Z 3400 : 2013には、特定の記録様式はありません。JIS Z 3400の附属書F(参考) 実施する上での指針 の F9.1(P.40)に 製造事業者は、例えばチェックリストの消し込み、若しくはテクニカルレビューの議事録によって、この規格の適切な規格における各要求事項が、十分満足されたことを証明しなければならない、と記載されています。また、附属書FA(参考) 文書例(P.46) に 要求される文書 と 代表的な記録/報告書が示されており、要求事項のレビュー及びテクニカルレビューについては、下記が記載されています。

要求文書 : 製造事業者がどのように要求事項のレビュー及びテクニカルレビューを実施するかを示す文書。作成された記録は、コメントを付けた完成されたチェックリストの形式、又はレビュー会議の議事録でもよい。

代表的な記録/報告書 : 要求事項のレビューのチェックリスト。テクニカルレビューのチェックリスト。

 

補足しますと、要求事項のレビュー及びテクニカルレビューは、設計図書、製造計画図書、検査計画図書等が、契約上の要求事項及びその他の要求事項を満たすようになっているかどうかを、工事開始前にレビューするものです。従って テクニカルレビュー記録にはレビューした会議毎に、実施日時、メンバー、レビューコメント、コメント対応処置等が記録されねばなりません。あるいはチェックリストを用いて、× について、処置を記録されるのが良いと考えます。なお、対応処置には、”設計図書のどこどこに溶接部の要求性能が書いてあるから問題ない。” とか、”製造計画書に溶接技能者の資格が抜けている。” とのコメントがあり、”製造計画書をこう直した。” というように記録し、内容が第三者に理解できるようにする必要があります。

(2) テクニカルレビュー実施時期

テクニカルレビューは工事開始前に完了しておく必要があります。溶接要員適格性であれば、製造計画図書に溶接技能者の要求技量資格を記載する必要があります。実際に溶接した人の資格が問題なかったかどうか(要員の適格性)については溶接技能者の適格性証明書の記録で確認となります。検査及び試験についても同様で、予定(計画)している検査内容で問題ないかどうかの実際の確認は非破壊試験要員の証明書、非破壊試験及び破壊試験要領並びに記録で実施することになります。


(WE-COM会員のみ)