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年 頭 所 感

一般社団法人 日本溶接協会
会 長 宮田 隆司

新年明けましておめでとうございます。

当協会の諸事業は、お蔭様で昨年も大変順調でありました。これもひとえに関係各位のご支援、ご協力によるものと感謝しております。一方、東日本大震災の復興はまだその途上にあることや、東京オリンピックを控えた旺盛な建設需要などから、溶接というものづくりの基盤技術への需要は増えるばかりです。そのため、足下では、深刻な人手不足が社会問題として浮かび上がってきております。これは外国人技能実習制度とも絡んで本年の大きな検討課題になるものと思われます。

溶接に関わる要員の問題は、長期的にも溶接界全体にかかわる重要事項であります。当協会では溶接・接合技術の調査・研究、および溶接技術者・技能者の資格認証を広く事業として実施しておりますが、近年の資格取得動向は減少傾向が続いております。これらの資格の受験者数の減少と呼応して、溶接関連の研究開発に従事する方々の数も減少傾向が続き、企業あるいは大学等の研究機関における若手研究者の数もかなり減ってきているのが足下の状況です。

こうした中、当協会では溶接の人材育成に資するべく、次世代を担う研究者に対する支援のため、助成金制度を創設しました。すでに審査は終了し、平成27年度予算にて10名の方への支給を準備しております。今後もこの支援は継続して実施することにしています。

また、一般の方々を対象として、広く溶接を理解して頂くことを目的に溶接技術者交流会(WE-COM)サイトの「溶接がってん」と溶接体験レポートのコミックを作製し、配布致しました。本コミックは、当初の大方の見方を上回る好評ぶりであります。今後も継続して溶接分野における事柄を取り扱ったコミックを作製し、溶接ファミリー拡充の一環としてアピールに努めていきたいと考えています。

一方、日本のあらゆる分野での国際化の流れは留まるところを知らず、インターネットの普及も手伝って加速度的に国際化が進んでおります。そのため、国際標準化機構(ISO)、国際電気標準会議(IEC)を念頭に置いた、規格・標準や資格認証分野での国際化等々の流れの中で、当協会としてどのような役割を果たすのかという命題に真摯に向かい合っていく所存です。特に、アジア溶接連盟(AWF)を通じた東南アジア諸国との協力関係をどのように構築し、アジア共通の溶接材料規格、資格認証制度を如何に整備していくかが大きな課題であり、そのためには、体制の再構築も必要と考えております。

具体的には、要員認証では、国内でのISO 9606-1に基づく溶接技能者の認証事業を検討しており、昨年までで検討はほぼ終了し、今年は実施に当たっての具体的確認を行うとともに、一般に向けての制度の周知を図る段階となっております。さらに、IIW国際溶接技術者資格(IWE、IWT、IWS、IWP)の関連でも国際溶接検査技術者(IWIP)認証制度を立ち上げるため日本非破壊検査協会など関連協会と打合せを始めていきたいと考えております。事業所認証では、ISO3834に基づく制度の調査・検討も着実に進めて参る所存です。

最後になりましたが、当協会の活動に対しまして、ご協力、ご尽力いただいている皆様方に改めて感謝申しあげますと共に、今年が溶接にご関係の深い皆様方にとりまして、より良い年でありますように心から祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。

 


(WE-COM会員のみ)