4.3 パルス通電活用スポット溶接による継手強度向上
継手強度向上の効果を、板厚1.6mmの1180MPa級高張力鋼板の二枚重ね溶接継手にて評価した。図20に、パルス電流と継手十字引張強さの関係を示す。パルス電流以外の溶接条件は前項と同様とした。従来溶接の継手強度7kNに対し、パルス通電活用スポット溶接ではパルス電流8kAで継手強度12kNを示しており、顕著な継手強度向上効果が確認された。さらに、パルス電流7kAから9kAの幅広い範囲で継手強度は向上しており、溶接施工性も良好であることが確認された。

図20 パルス通電活用スポット溶接における継手十字引張強さ
また、図21に、パルス電流8kAにおける十字引張試験後の破断状態を示す。従来溶接ではナゲット内に亀裂が進展して破断していたが、パルス通電活用スポット溶接ではナゲット内には亀裂が進展しておらず、良好なプラグ破断形態を示している。ナゲットじん性向上及びナゲット端部での応力集中緩和の二つの効果によって、継手強度は大幅に向上したものと考えられる。

図21 十字引張試験後の溶接部の破断状態
5. まとめ
本稿では、自動車ボディの軽量化(燃費低減)及び高強度化(衝突安全性向上)の流れの中で1つのポイントとなる自動車用高張力鋼板の抵抗スポット溶接技術に関して紹介した。今後も、自動車を取り巻く環境は大きく変化していくと考えられるが、本紹介技術が、自動車組立てにおける今後の抵抗溶接技術開発に対し、何らかのお役に立てば幸いである。
参考文献
1) J.Heuschkel:Welding J., 31-10 (1952), p.931-943
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< 略 歴 >
| 池 田 倫 正 (いけだ りんせい) |
1989年 大阪大学大学院 工学研究科 溶接工学科 博士前期過程修了 1989年 川崎製鉄株式会社(現 JFEスチール株式会社)入社、 技術研究本部 鉄鋼研究所 強度・接合研究室配属 2010年 博士(工学) 取得 2013年 JFEスチール株式会社 スチール研究所 接合・強度研究部、 薄板接合Gr長(部長) 現在に至る |







