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自動車ボディ用高張力鋼板の抵抗スポット溶接技術
〜継手強度特性と最新溶接技術開発の動向〜

2.2 継手の十字引張強さ

次に、継手の十字引張強さであるが、母材破断する場合には母材引張強さによらずほぼ一定とされる3、4)図2に、十字引張強さと板厚の関係を示す。ここで、ナゲット径は6t(mm)(tは板厚)である。

図2 鋼板板厚と継手十字引張強さの関係

図2より、十字引張強さは、板厚、ナゲット径によって決められ、式(7)3)で表される。

CTS(N)=645×t×ND1.27 ・・・ (7)

十字引張試験においてはナゲット径が5〜6tと比較的大きな場合でも、ナゲット内破断が生じることがある。この場合には、母材破断に比べて継手強度が低くなる。破断形態は、鋼板の化学成分の影響を受け、炭素量或は炭素当量が大きいほどナゲット内破断になり易くなるが、母材破断となるための炭素当量式として、田中ら3) 及び高橋ら4) により下式が提案されている。

Ceq=C+2P/3+2S<0.153 ・・・ (8)  3)

Ceq=C+Si/30+(Mn+Cr)/20+2P+3S<0.248 ・・・ (9) 4)

これらの炭素当量式では適用範囲等の前提条件がそれぞれ異なるため、C、Si、Mnなどの元素の寄与率に差がみられるが、破断モードを整理する考え方は同じである。すなわち、ナゲット硬さを規定するC、Si、Mnなどの元素とナゲットの最終凝固面へ偏析元素しやすい元素であるP、Sの重ね合せで示されており、ナゲットが硬くかつ偏析元素が多い場合にナゲット内で破断しやすいという考え方である。一例として、式(8)に対応する破断形態と化学成分の関係を図33)に示す。横軸がC量でナゲット硬さを、縦軸がP及びS量で偏析を規定している。十分な十字引張強さを確保するためには母材破断させることが必要であるが、図3より、鋼材のC、P及びSの含有量を上記炭素当量値以下に抑制することにより、十字引張試験時の破断形態を母材破断とすることが可能なことがわかる。なお、式(9)の場合は、横軸にC、Si、Mn及びCr量を、縦軸にP及びS量とすることで図3と同様な整理がされている。

図3 十字引張試験での破断モードと鋼板組成の関係


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