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自動車ボディ用高張力鋼板の抵抗スポット溶接技術
〜継手強度特性と最新溶接技術開発の動向〜

3. 三枚重ね抵抗スポット溶接技術

図4は、自動車車体のセンタピラーにおける三枚重ね溶接箇所を示している。センタピラーでは、外板(薄板)、補強部材(厚板)及び内板(厚板)の三枚重ね溶接となるがこのような、薄板−厚板−厚板の板組みでは,板厚比(=板組みの総板厚/板組みの中で外側に配置された薄板の板厚)が大きい場合に、薄板−厚板間にいかに安定してナゲットを確保するかが課題とされる。図中に、板厚比が極端に大きい板組み例として、0.7mmt(軟鋼)+2.3mmt(780MPa高張力鋼板)+2.3mmt(780MPa高張力鋼板)の組合せの溶接継手断面マクロを示す。板厚比は7.6であるが、板厚比がここまで大きくなると、薄板−厚板間でのナゲット形成が非常に困難であることがわかる。

図4 センタピラー部材における三枚重ね溶接箇所及び高板厚比
板組み(0.7mmt+2.3mmt+2.3mmt)の溶接部断面マクロ

図5は、三枚重ね抵抗スポット溶接における溶融部形成過程を示している。溶接部は通電中も水冷電極により抜熱され、溶融部分は溶接板組みの中央部付近に形成される。そのため、総板厚に対して薄板の部分が薄い場合、薄板−厚板間まで溶融部が成長せず、溶融凝固部(ナゲット)も形成されない結果となる。このことから,一般的には,板組みの板厚比は4〜5以下に制限され,図4の断面マクロ写真のような溶接はされないのが通常である。

図5 三枚重ね抵抗スポット溶接における溶融部形成過程の模式図

一方、抵抗スポット溶接システムは、近年、大きな進歩を遂げている。多関節溶接ロボットと溶接コントローラ(電流波形制御)が統合され、ロボット制御盤でロボット動作と溶接電流の両方の制御ができるようになり、さらには、電動サーボガン7)、8)の普及により、ガン加圧制御も含めた統合システムが構築されてきた。これにより、打点軌道最適化による打点効率向上、溶接点毎の加圧力変更による溶接品質向上、などが達成されている。しかし、通電中の加圧力及び溶接電流の制御という観点では、アルミニウム合金溶接で鍛圧のために通電中の加圧力増加を検討した例9)、散り防止のために通電中に加圧力を増加させた例10)、或は、テンパー通電によりナゲット硬さ低減を検討した例11)などがあるものの、通電中の溶融部制御(溶融部の形成位置、形状など)について検討した例はない。

そこで、現状のサーボガンにおける動作応答性及び多段加圧制御性の向上を最大限に活用し、通電中の溶接電流と加圧力を多段設定することによって三枚重ね板組みでのナゲット形成安定化について検討した。以下、開発した高板厚比三枚重ね用抵抗スポット溶接技術12)について紹介する。


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