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工場溶接の高効率化
−重電機器溶接の事例−

3. 溶接作業の効率向上について

3.1 基本的な考え方

溶接作業の効率向上に向けた基本的な方針を図2に示す。効率向上の目的としては、各社表現は異なるが、工数いわゆるコストの低減であり、工数は、作業時間と人の積で示される。作業時間は、溶接時間たとえば溶接長あたりの時間の指標で示されるが、言い換えれば、開先をどれだけの時間で埋めることができるかであり、それを何人の溶接士で行うかで決まる。そこで、工数は、(開先断面積/溶着速度)×人数で示すことができる。すなわち、工数を低減するには、開先断面積やすみ肉脚長および肉盛量などを低減することで溶着量をへらし、溶着速度の大きい溶接法を適用し、出来る限り少ない溶接士で実施すればよいわけである。具体的な施策としては、①溶着量の低減 ②溶着速度の増加 ③自動化の推進があげられそれぞれの施策の狙いは、図2に示すとおりである。

図2 高効率化に向けた基本方針

以下にこれらの具体的な実施事例を説明する。

3.2 溶着量の低減事例

溶着量の低減として、現状設計の製品に対しては、すみ肉脚長や 肉盛量を低威するためには、設計的な再評価が必要となるのに対し、開先断面積を減らすことは、製造技術上の問題であり、プロセス開発にて対応が可能である。

図3に、開先断面積の低減施策である狭開先化の事例を示す。口径が500Aで、板厚40mmの配管において、従来のV開先から、開先幅が約9mm程度のU開先に変更した例である。開先断面積は、従来の約30%に削減されている。従来、初層をTIG溶接、2、3層目を被覆アーク溶接で実施後、残層をサブマージアーク溶接の多パスで実施していたが、狭開先化により、初層から最終層まで、ホットワイヤTIG溶接にて1層1パスで実施可能となり、その結果、アークタイムも約50%に削減された。溶着速度の低いTIG溶接であるが、狭開先化と自動溶接化することで、高効率な施工を実現できることがわかる。

図3 狭開先化の例

究極的な狭開先は、開先をとらないI開先の適用である。板厚に制限があるが、炭素鋼薄肉配管溶接(管回転下向き溶接管)のI開先化の検討を行った。口径80〜150A で、板厚7mmを対象に、TIG溶接、プラズマ溶接、レーザ溶接の適用を検討した。TIG溶接では、深溶け込みを狙い、近年ドイツで開発されたCF(カソードフォーカス)-TIG1)と活性化フラックスを表面塗布するA-TIG法について試験を実施した。CF-TIGは、特殊な冷却システムを用い電極を冷却し、アークの集中性を高めることで大電流の溶接を実現したもので、SUS304では、板厚10mmを溶接電流680A、溶接速度500mm/min.の条件で1パス溶接を実現できる。図4は、炭素鋼に適用した結果を示したもので、1パス溶融深さは7mmが限界であった。図5は、A-TIGを適用した結果で、安定して裏波が確保できている。表面が凹むため、余盛として2層目を通常のTIG溶接で行っている。図6は、レーザ溶接を適用した結果を示したもので、レーザ出力は約10kw必要で、2層目の余盛溶接では,3kwの条件であった。一方、プラズマ溶接では、板厚7mmが限界であった。本薄肉配管溶接では、寸法公差に起因する目違いや開先ギャップなどの変動要因があり、開先あわせ状態にロバストであり、設備コストが低いA-TIGを選定し、実用化している。今後は、さらに、適用板厚範囲を拡大するため、大出力レーザの実用化をすすめている。図7は、30kwの大出力レーザを用いた炭素鋼平板(SM400A)の溶接試験結果を示したのであるが、現状、片側裏波貫通溶接は、板厚15mmまで、両側溶接では、板厚45mm程度まで可能である。

図4 CF−TIG配管溶接

図5 A−TIG配管溶接

図6 配管レーザ溶接

図7 炭素鋼レーザ溶接


(WE-COM会員のみ)