3.4 溶接自動化事例
高効率化を目標として、溶接自動化を推進する上で重要なことは、オペレータがいかに関与せず無人で連続溶接を可能にするかという点である。いくら自動化しても、オペレータが離れられない場合、作業は楽になるが、そのコストは発生してしまい、自動化の効果は限定的なものになる。このため、自動化としては、無人化、監視レス化を目標にオペレータが複数台の溶接装置を操作する多台持ち化をねらう必要がある。表1は、溶接自動化の区分を示したものであり、自動化レベル3,4の多台持ち化、無人化を目的とした溶接自動化システムの構築を目指してきた。
表1 溶接自動化レベルの区分

図21は、電動機シャフトのMAG溶接ロボットシステムを示している。継手は、レ形開先+すみ肉で、脚長は最大で50mmである。量産品であることから、まわし溶接も含め溶接パスシーケンスをプログラム設定し、溶接変形が小さいこともありロボットが有するワイヤタッチセンサの機能で十分無人化が可能である。ロボット溶接中、オペレータは、次の製品の準備など他の作業を実施している。

図21 ロボット溶接による無人化
図22は、カメラ監視によるロボット溶接の多台持ち化の例を示したものである8)。マニピュレータに6軸多関節ロボットを搭載し、ターンテーブルと組み合わせた溶接システムであり、対象製品板厚は100mmをこえ、狭開先MAG溶接が適用されている。溶接部には高い品質が要求されており、溶接オペレータは、操作室にて、溶接ヘッドに取り付けたCCDカメラの映像をみて、溶接中に、トーチねらい位置やウィービング幅、溶接電流などのパラメータを修正しており、同時に多数台の溶接システムを操作している。

図22 カメラ監視によるロボット溶接の多台持ち化
図23は、カメラ監視による配管溶接の多台持ち化の例を示したもので、溶接トーチに取り付けたCCDカメラの映像をみて、溶接条件の調整をはかっている。CCDカメラにて溶接部をモニタするには、アーク光に干渉されない鮮明な映像を得ることが重要で、観察する項目に応じて適正なフィルタを選択する必要がある。
無人化、監視レス化に対しては、変動、外乱要因に対応して、オペレータが行う修正作業を自動的に行うためには、人の目に相当するようなセンサを搭載する必要がある。光学センサは、情報量が豊富なことから、多岐にわたる制御やモニタリングに活用できる。代表的な光学センサとして、レーザセンサとCCDカメラが適用されている9)。

図23 カメラ監視による配管溶接の多台持ち化
図24は、レーザセンサを搭載した可搬式のMAG溶接ロボットシステムの構成を示したものである。これは、水力発電機器の水車ランナの溶接用に開発されたもので、現地溶接にも対応できるように可搬式としている10)。この水車ランナは、溶接線が複雑な3次元曲線となっており、溶接中にプログラム設定からの修正が必要となる。そこで、レーザセンサを用いて、ビード形状の計測を行い、溶接ねらい位置と溶接条件の修正を行うこととした。図25は、その制御フローを示したもので、あらかじめ製品の3D-CADデータからオフラインティーチングによりロボット動作プログラムの作成を行い、これをベースに、センシングシテムにてねらい位置を各パス補正すると同時に各層のパス数を一定にするため溶接条件の補正も行う。センシングは、溶接終了後の原点に戻る際に行い、次パスに反映する方式をとっている。

図24 レーザセンサを搭載した可搬式ロボット溶接システム

図25 レーザセンサによる溶接積層制御フロー







