WE-COM 最新号トップへ(WE-COM会員のみ) | この号のトップへ | WE-COM バックナンバートップへ

工場溶接の高効率化
−重電機器溶接の事例−

図26は、CCDカメラを搭載した配管全姿勢自動溶接システムの構成を示したものである。CCDカメラの映像から画像処理を行い数値化することで溶接ねらい位置(電極位置)をリアルタイムに制御するもので、その制御フローを図27に示す。狭開先溶接であるため、電極位置をつねに開先中心にくるように制御されるため、溶接オペレータは、常時監視の必要がなく、2台を同時に操作することが可能である。

図26 CCDカメラを搭載した配管自動溶接システム

図27 溶接ねらい位置制御フロー

このようなセンサを用いることで、溶接をモニタリングし、溶接欠陥の発生を防止することにより、補修溶接などの工程の後戻りを防ぐことで、溶接効率の向上が図られている。

図28は、溶接インプロセス品質管理システムの構成を示したものである11)。対象は、厚肉円筒の狭開先溶接である。溶接インプロセス品質管理システムは、5つのセンシングシステムから構成される。溶接条件モニタリングシステムでは、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ速度、ワイヤ電流および溶接速度の各種溶接条件を電気信号にて測定する.溶融池形状モニタリングシステムは、図29に示すように溶融池の映像をCCDカメラにて撮影し、映像を画像処理することで溶融池形状、電極位置、ワイヤ位置、開先形状を数値化している。裏波センシングシステムは、裏面からCCDカメラにて初層溶接の溶融状況を観察する。溶接ビード形状ビジュアル化システムでは、図30に示すように、2つのCCDカメラを用いて、ビード形状を計測し、その表面曲率にてビードの凹凸を判断する。内部欠陥ビジュアル化システムは、レーザ超音波法を用い非接触にて溶接中に溶接部の欠陥を検出する。レーザ超音波法の原理を図31に示す。レーザ超音波はレーザ光を金属表面に照射し、表面の数原子層をプラズマ化し、そのプラズマの反力により体積波を発生させる。発生した超音波は、溶接部を透過し、開先を挟んで受信用レーザにて受信される。受信レーザは材料内部を伝播した超音波を、母材表面の微小変位として捉えている。現状開先が残存した状態で、溶接部表面から5mm以上であればFBH1.6φ以上の欠陥検出が可能である12)。 本システムの運用では、あらかじめ適正に溶接可能な裕度範囲を基に決定した閾値となる数値を与え、施工中に閾値を逸脱した場合、溶接オペレータへ異常を知らせ、条件の修正あるいは溶接の中断を行うことで欠陥発生を未然に防止できる。また、溶接中に許容欠陥サイズを超えた欠陥がないことを確認することで品質の保証を行うことができる。図32にモニタ画面の一例を示す。

図28 溶接インプロセス品質管理システムの構成と配置

図29 溶融池形状センシングシステム

図30 溶接ビード形状センシングシステム

図31 レーザ超音波法の原理

図32 モニタ画面

図33は、溶接インプロセス品質管理システムを蒸気タービンのロータ溶接に適用した事例を示したものである。欠陥発生を未然に防止することで、高品質な溶接を実現するとともに製品の製造リードタイムを効率よく確保することができる。

図33 溶接インプロセス品質管理システムの適用


(WE-COM会員のみ)