3. 異種金属接合技術について
摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding : FSW)は、1991年に英国TWIで発明された接合方法である。図3に示す様に、FSWは先端に突起の有る円筒形のツールを高速回転させながら被接合材に挿入して接合する。ツールと被接合材との間で発生する摩擦熱により被接合材が軟化し、ツールの回転と共に塑性流動が起こり、攪拌された材料が一体化して接合が完成する1)。FSWは固相接合の一種であり、低入熱で接合ができる(図4)事から軟鋼板とアルミニウムの異種金属接合に適用しようと考えた。
図3 FSWのイメージ図
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図4 FSWの接合温度(模式図)
通常、鋼板とアルミニウムの溶融溶接では軟鋼が溶融する温度(約1500℃以上)になると脆弱な金属間化合物(Intermetallic Compound:IMC)が生成され、かつ大きく成長する。このIMC層は粗大化して、層内で破壊が起こり易く、接合部の強度が低下する。そのため、溶融溶接が適さない素材の場合、リベット等の機械接合が多用されていた。
しかし、サブフレームの剛性を確保するためにも連続接合を必要とした事から、FSWの連続接合でアルミニウムと鋼板のどちらも溶融させない低温で接合する方法を採用した。図5に示す様に、ワークの合わせ精度やクランプ方法から、重ね継手のアルミニウムダイカスト側からツールを高速回転させながら挿入して、アルミニウムを塑性流動させる事とした。後述する防錆構造を成立させるために、鋼板はカチオン電着塗装済みの合金化溶融亜鉛めっき鋼板であり、シーラを塗布した上にアルミニウムダイカストをセットして接合する。この時、プローブと言われるツール先端部が鋼板まで到達し、鋼板表面を削り取るように作用させることで新生面を現出させる。プローブの周囲は、ツールとの摩擦熱により軟化し塑性流動している約400℃のアルミニウムで満たされている。そのアルミニウムがツールから受ける約10kNの加圧力により新生面に強く押し付けられて接合が完成するが、この時、鉄とアルミニウムの相互拡散によりIMCが生成される。そのままツールを移動させる事で連続接合となる。IMCが1μm以下の厚さであれば、実用化できるレベルの強度を得られる事2)から、IMC層を抑制する事が鍵となる。なお、文献(2)は抵抗スポット溶接のデータであるが、ここではFSWにも応用した。
図5 開発した鋼板とアルミニウムのFSW連続接合メカニズム
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図6は、接合部断面を集束イオンビーム加工し、走査透過電子顕微鏡 (STEM)で観察した接合界面の画像である。IMC層の厚さは、約0.2μmであり十分に薄い。また成分はAl-Fe-Siの3元系合金である事がわかった。

図6 FSWにおける鉄とアルミニウムの金属間化合物層









