4. 量産適用技術
新しく開発した鋼板とアルミニウムダイカストを組み合わせたハイブリッド構造は、FSWによる異種金属接合に加えて、防錆技術、ロボットを使ったFSW技術および非接触非破壊検査技術を確立し、量産に適用している。
(1) 防錆技術
異種金属接合で懸案となる電食を防止する防錆技術について説明する。異種金属接合における防錆の考え方は、接合部に腐食因子(塩、水等)を侵入させない構造を構築する事とした。サブフレームは、車体下部に取り付けられている事から厳しい腐食環境に置かれている。従来から、鋼板は合金化溶融亜鉛めっき材にカチオン電着塗装を施しており、ハイブリッド構造の場合も鋼板部分は同じ材料、処理を実施している。図7および図8に示すように、鋼板には接合前にシリコン系シーラを塗布し、その状態のままアルミニウム側からツールを回転させながら圧力をかけ挿入させる。ツールの圧力により鋼板とアルミニウムダイカストのすきまにシーラはまんべんなく充填される。プローブ先端部は鋼板表面を削り取る様に作用し、シーラ、カチオン電着塗装、めっき層などを破壊、除去する。この時、接合部のすぐ近傍にはシーラ、カチオン電着塗装やめっきは残存して腐食因子の侵入を防ぎ、高い防錆効果を発揮する構造が完成する(図9)。しかし、アーク溶接等の溶融溶接では、母材を溶融させる高温になる事でシーラやカチオン電着塗装、めっきはガス化して空洞欠陥になってしまい、このような構造は成立しない。

図7 防錆技術 (本田技研工業(株)HPより)
図8 防錆効果を確保した鋼板とアルミニウムダイカストのFSW重ね継手
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図9 高い防錆効果を有するFSW重ね継手の断面構造
複合腐食試験機(Cyclic Corrosion Tester : CCT)を用いた120サイクルテストを行った後、接合部近傍のすきまを観察した結果、アルミニウムダイカストおよび鋼板のどちらにも腐食の発生が無い事から腐食因子を侵入させない防錆構造は有効であることが確認できた(図10)。

図10 複合腐食試験(CCT)120サイクル後の接合部の状況








