相談例20.溶接技能者の資格
溶接技能者の資格において、SA-3PはSA-3V,3H,3Oを、SA-2PはSA-2V,2H,2Oを包括していると判断して問題ないのでしょうか。例えば、SA-2Oの資格が必要な溶接において、SA-2Pの資格で溶接が可能でしょうか。
回答
質問にありますSA-3Pの資格は、SA-3V,3H,3Oを包括しているとはいえません。しかしながら、溶接工事における必要な溶接技能者資格は、発注者と施工者との協議で決められるものです。従って、発注者の了解が得られれば、SA-3Pの資格でSA-3V,3H,3Oの溶接が可能な場合もあります。下記説明を参照下さい。なお、以下の説明はSA-2Pについても同様です。
(1) JISに基づく日本溶接協会の溶接技能者資格(以下、JIS資格)は溶接作業の腕前を示す「技量検定」であり、溶接作業を行うための「免許」ではないことを認識して下さい。
(2) 溶接作業で考慮すべき要件は多岐に亘っていますが、その中でもJIS資格は母材の種類、溶接方法、板厚、溶接姿勢の組合せによって様々な種類を定めており、いずれも独立した技量としています。従って、SA-3Pはその他JIS資格種類を包括しているとはいえません。
(3) 実溶接工事におけるJIS資格の必要性の有無や、必要な場合の資格種類の選定は発注者側と施工側との調整(主にお客様である発注者側の判断)で決定するものです。一般的には、SA-3Pのような管の試験では各姿勢での溶接を含むため、板での各姿勢での試験より難易度が高いと考えられる方もおられます。JIS資格は溶接作業の免許ではありませんが、施工者側と発注者でSA-3Pの資格を有していればSA-3V,3H,3O相当の溶接を施工できる技量を有していると合意できる場合もあります。
(4) 以上のことから実溶接工事の仕様書、適用基準等で特に取り決めがない場合は、発注者にSA-3Pでの作業範囲(姿勢、板厚など)を説明し、SA-3V,3H,3Oの溶接をしたい旨の提案を行い、発注者の了解を求めることをお勧めします。その際には、資格の保有だけでなく、工場での管理体制(力量管理、訓練等)も含めての説明が有効と考えます。