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年 頭 所 感

一般社団法人 日本溶接協会
会 長 宮田 隆司

新年明けましておめでとうございます。

日本溶接協会の諸事業はお陰様で大きな問題もなく、順調に推移しております。昨年の認証事業においては、溶接技能者、溶接管理技術者ともに受験者総数が前年実績をかなり上回りました。

しかし、リーマンショック後の合理化の反動か、建築鉄骨関係を中心に技能者不足は深刻な問題となっております。溶接協会としては安定的な人材の確保と育成にこれまで以上に注力していきたいと思っております。

例えば、若年層、女性など日頃溶接になじみの少ない方々へ溶接技術の重要性や面白さをアピールするために、新たな紹介パンフレットの制作を進めてまいります。また、様々な産業で用いられている「溶接」を紹介する溶接レポート漫画の制作も進めております。これと並行して、WE-COMでもお馴染みの「溶接がってん」の続編コミックも冊子にして発行する予定です。更に、全国指定機関委員会、全国工業高等学校長協会とも連携して工業高校教員、生徒各位への働きかけを強化してまいります。

昨年末より、国内向けにISO 9606-1に基づいた技能者認証を開始しました。この国際規格に基づいたアジア溶接連盟(AWF)によるアジア共通の技能者認証も間もなく開始される予定です。この規格には、「当該溶接施工法に関する溶接技能者の承認は、製造時業者組織の溶接における責任者又は試験員若しくは試験期間によって6ヶ月ごとに確認されなければならない。」と記載されています。そのため、国内向けのISO 9606-1に基づく技能者認証においては、溶接管理技術者が溶接技能者の有効性確認を行うと規定しています。

今年は、従来のタイ、フィリピン、インドネシア、マレーシアに続いて、シンガポールにおいてもJWESスキームによる溶接管理技術者認証が新たに始まります。他のアジア諸国、アジア以外の新興国からも制度導入の要望があり、協会としてどのように対応していくかが、これからの大きな課題です。

IIW国際溶接技術者資格(IWE、IWT、IWS、IWP)に関しては、昨年IIWによる更新監査を受けました。今後も引き続き、国際資格の認証を継続して進めてまいります。

昨年は、鋼橋の耐震補強工事において意図的な不良施工と非破壊検査不正が発覚し、社会問題となりました。認証制度の根幹にも関わる重大事件であり、関係省庁とご相談しながら、溶接管理技術者への倫理教育の強化を検討したいと考えております。

WE-COMマガジンでは、昨年から「溶接管理技術者の体験紹介」コーナーを設けました。溶接管理技術者として認証された方々の経験談が、皆様の業務に役立つことを願っております。

最後になりましたが、当協会の活動に対し、ご協力、ご尽力いただいている各位に感謝申し上げますとともに、今年がより良い年となりますよう心から祈念いたしまして、新年のご挨拶といたします。

 


(WE-COM会員のみ)