2) 2アークシステム
溶接能率の点から、ロボット1台よりも2台で同時に溶接した方が、単純に能率2倍となるのは明らかである。そこで、ポジショナの動きに対し、2台のロボットで同時に溶接を行う「2アークシステム」15-16)と呼ばれる高能率ロボットシステムが開発され、採用が増えている(図8, 動画3)。
図8 2アークシステム
動画3 2アークシステム
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2アークシステムの技術的難しさは、溶接対象となる2つの開先のルートギャップが異なる場合に対応する必要性である。左右の鋼管を回す速度、すなわち溶接速度を変えることは不可能なので、電流・電圧等の溶接条件を左右で変えることによって、溶着断面積を最適に調整する機能を持っている。(図9,10)
図9 2アークシステムの溶接断面積制御機能
図10 2アークシステムの溶接断面積制御機能の実例
また、2アークシステムは高能率だけでなく、品質改善機能も発揮する。ダイアフラムの片側だけ先に溶接すると、熱による角変形が発生し、ダイアフラムが倒れる現象が発生する。(図11) この現象は、2アークシステムで左右開先を同時に溶接すれば、ダイアフラムの両面の熱分布がほぼ均等になるので、変形を大幅に防止できる。
図11 ダイアフラムの角変形と2アークシステムによる防止