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建築鉄骨の自動・高能率溶接技術の進展

6. 溶接組立箱形断面柱の溶接技術と高能率化

柱貫通形式の柱の代表は、四角の各面に相当する4枚の鋼板を溶接して製作される溶接組立箱形断面柱、通称4面ボックスである。先述の梁貫通形式のダイアフラムは外側に張り出すが、溶接組立箱形断面柱では、内側に設けられる。

本形式の溶接箇所は①4枚の鋼板(スキンプレート)の角溶接と②内ダイアフラムとスキンプレートの溶接になる29)。①の角溶接は、溶接長が直線的で、かつ非常に長いことから、サブマージアーク溶接が通常用いられる30-31)(図19(a))。一方、②の内ダイアフラムの溶接は、立向上進姿勢のエレクトロスラグ溶接32-33)が用いられている(図19(b))。

溶接組立箱形断面柱の製作は工数と高い技術力が必要とされる。比較的小型の柱は鋼管を用いた梁貫通形式になっており、溶接組立箱形断面柱は、鋼管が製造困難な超高層ビル用大径柱に採用されている。近年、ビルの超高層化、有効空間面積拡大のための柱間隔拡大のニーズによって、対象板厚が大きくなっており、さらなる溶接の高能率化が求められている。

図19 溶接組立箱形断面柱の溶接

6.1 角継手溶接の高能率化

角継手は、その板厚が60mmまでは2電極のサブマージアーク溶接によって、図20に示すように1度の走行(1ラン)で開先断面を溶接でき、非常に高能率である34-36)。しかし、60mmを超えると溶着金属量が不足するため、一般的には、図21に示すように炭酸ガスアーク溶接で下盛多層溶接を行い、最後にサブマージアーク溶接を行う、いわゆる混用溶接を行う。しかし、混用溶接になると、途端に施工能率が低下するため、数々の高能率溶接法が試みられている。

図20 2電極サブマージアーク溶接法による
角継手の1ラン積層 (板厚50mm)

図21 炭酸ガスアーク下盛+2電極サブマージアーク溶接による
混用溶接継手 (板厚80mm)


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