相談例24.コラム柱現場初層溶接に発生するブローホール
コラム柱ジョイント部(BCP材、板厚19mm)を、現場で炭酸ガスアーク溶接した所、初層に連続してブローホールが発生した個所と健全な個所が混在しました。ブローホールが発生する主要因を教えてください。横向溶接、レ形開先(開先角度35°、ルートギャップ7.5mm)で、溶接条件は、電流280A, 電圧26V, 速度37.5cm/分です。なお、開先内に錆がありましたが、ワイヤブラシで清掃しました。
回答
1. ブローホールの発生メカニズムは、大気、シールドガスあるいは溶接中に発生したガスが溶融金属中に侵入して気泡となり、それが外に放出されないで残存したものです。
2. ブローホールの発生原因として、一般に次の条件が挙げられています。
① シールド性不十分(ガス流量不足、強風、ガスノズル内面でのスパッタ過剰付着等)。
② 開先清浄不足(錆、油および水等の存在等)。
③ 溶接施工条件不適正(溶接速度過大等)。
④ 溶接機器整備不良(配管接続部からのガス侵入等)。
3. 建築現場の角形鋼管コラム柱の裏当て金付き突合せ溶接では、上記以外の原因として、裏当て金と母材との隙間があります。すなわち、裏当て金と母材とが密着していると、隙間に存在する温度上昇したガス(空気、塗料、錆および水分からのガス等)の逃げ場がなくなり、圧力上昇して溶融金属に侵入する結果、ブローホールが発生しやすくなります。従って、この種ブローホールの防止対策としては、裏当て金と母材との隙間を1mm程度設けることが有効です。
尚この種のポロシティ(ピット及びブローホールの総称)の事例として、T継手のすみ肉溶接で、最初に溶接する側のビードには発生しないのに対し、後で溶接する側に多数発生することがあります。これも底板と立板の間に存在するガスが温度上昇して圧力が高くなるにも係わらず、その逃げ場がないためです。
4. 纏めますと、強風、溶接施工条件、開先清浄不足等の問題がないとしますと、建築現場の角形鋼管コラム柱の裏当て金付き突合せ溶接特有のブローホール原因として、裏当て金と母材との隙間が考えられます。少し隙間を設ける事をお勧めします。