相談例25.配管の溶接位置の確認方法について
ボイラー蒸気管[母材 STPA24(2.25Cr-1Mo鋼), 直径406.4mm(板厚17mm)]の取替工事で、取替前の管の溶接線を確認する必要があります。ところが、前回工事の折に溶接部UT検査のために、余盛を平滑に仕上げており、溶接部の位置を確認できません。溶接位置を確認する方法を教えて下さい。
回答
現地でのボイラー蒸気管溶接部の確認方法として、マクロエッチング法を回答いたします。
配管の周溶接と想定されますので、エッチング箇所は円周上の2−4ヵ所です。まず次の要領で1ヵ所のエッチングを行って溶接位置を確認してから、円周上の他の位置のエッチングを行い、溶接線を確認してください。
① 表 面 研 磨: まず、配管表面の高温酸化スケールを除去する必要があり、グラインダーで表面研磨します。エッチングで表面を見易くするためには、ペーパで400番程度(最初は100番)まで研磨する必要があり、ペーパ付グラインダーの使用をお勧めします。
② エッチング: マクロエッチングですので、20%硝酸アルコール溶液(硝酸20%のエチルアルコール溶液、容積比で 硝酸1、エチルアルコール4)を作ります。 そして、ピンセットを用いて脱脂綿に20%硝酸アルコール液を含ませて、溶接部と母材の境界と推定される箇所をエッチングします。 マクロ組織が見えるようになるまで(時間は液の濃度・エッチング方法等に依存しますので、数分程度と思われますが正確な時間はエッチング作業しないと判りません)、当該部を濡らしてください。
③ 洗 浄: エッチングが終わったら、エチルアルコールで洗浄します。エチルアルコールの代わりに、PT洗浄液を用いても差し支えありません。
なお研磨のみで、溶接金属と母材の差による光り方の差、あるいは硬さの差による研磨量の違いから、溶接部と母材の判別ができる場合もあります。研磨時に注意深く観察されることをお勧めします。