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「溶接用語事典」編集裏ばなし(その3)

余盛角(度)、フランク角、余盛接触角について

JISと本事典との不整合(相違点)についてもうひとつ例を挙げる。相違点といってもそう沢山あるわけではない。原則として本事典はJISにあるものはそれに準拠している。

教科書では、溶接止端部の形状が疲労強度に及ぼす影響が強調して説明され、またWEの試験にしばしば出題される。溶接止端部の形状は溶接の弱点の一つであり、経済的に許されれば研削・削除した方がいい。

下図1は本事典で定義するフランク角(度)を示した図である。

図1

本事典では、フランク角と余盛角(余盛角度)との関係は互いに補角をなしている。つまりフランク角と余盛角の和は180度である。この定義に従えば、疲労強度は余盛角が大きいほど低下する(応力集中は大きくなる)ことになる。

ところが、JIS Z 3001:2008 では、溶接(融接)の不完全部のひとつとして「余盛角過小」を下図2に示すように定義している。つまりJISの定義する「余盛角」は図1の「フランク角」を示すこととなる。

図2

この点は重要であり、本事典の編集に際して問題とされた。しかし、次の諸理由により図1の定義とすることとなり、図2の説明にはことわりを記載することとなった。その理由とは、

① 教科書(WE-2級用)にフランク角と疲労強度の関係として教えられている(新版溶接・接合技術入門の図3.22:下図3参照)

② AWSでは、reinforcement contact angle として、図1の余盛角が定義されている。

③ JSNDIでも、フランク角は事典と同じ定義で使われている。

である。なお、本事典では、「余盛接触角」と記載し「余盛接触角」を推奨語としている。

図3

(日本溶接協会・顧問 野村博一)


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