6.X線デジタル検出器の適用例
非破壊検査分野でのRTのデジタル化は、レントゲン撮影などの医療分野の技術を応用したものが多い。時系列的に並べると、最初はフィルムをデジタイザでデジタル化する方法やイメージ・インテンシファイアを用いる方法から始まって、フィルムに代わるイメージングプレートの出現に続いてフラットパネルやラインセンサが実用化されてきた3),4),5)。以下、順を追ってそれらの適用例を紹介する。
6.1 デジタイザによるフィルムのデジタル化
撮影したフィルム画像の濃淡を図11に示すようなデジタイザという装置でデジタル情報として読み取り、位置情報と併せてコンピュータに記憶させる方法で、医療分野ではデータの管理・保存を主目的として用いられてきた。

図11 デジタイザの例
非破壊検査の分野では、図12のような画像ソフトを利用して、さらに写真濃度の適正化や画像強調などの処理を活用して検査精度の向上のために適用されている。
ただし読み取る濃度はフィルムの特性曲線に依存して、実際の放射線の透過線量と異なる場合があることに留意する必要がある。

図12 デジタル画像の例
6.2 イメージ・インテンシファイア(I.I.)の適用
健康診断のバリウム胃検査の画像化装置として一般に用いられてきた検出器で、X線から変換された電子を増幅させることができるため、非常に高感度でX線を検出できる。またリアルタイムで画像が得られる特長を活かして、図13に示すように配送品の検査装置として用いられた実績がある。しかし、図8に示したように、X線を受けてから画像として出力するまでに、X線→光→電子→光→電子→電気信号と多くの変換工程を経る必要があり、またX線の受光面が球面状であるため、図14に示すように中心部が明るく周囲が暗い画像となることがある。さらに画面の外側では画像がひずむ現象も発生する。
画像に変換する際には、イメージ・インテンシファイアの二次蛍光面に映った像をCCDカメラで撮影するのが一般的であり、CCDカメラの画素数を多くすることは可能であるが、二次蛍光面の大きさによって解像度に限界が生じる。

図13 配送品の内部検査の例

図14 電子部品はんだ接合部
6.3 イメージングプレート(IP)によるコンピューテッド・ラジオグラフィ(CR)6)
イメージングプレート(IP)は、厚さ約350μmのポリエチレンテレフタレート(PET)材のベースに輝尽(きじん)発光を生ずる蛍光体が塗布されている。図7に示したように表面(白い面)には、「蛍光体」の汚れや傷の付着を防ぐ透明な「保護層」と、裏面には遮光性を持たせた層(黒)を覆うように「バック保護層」がある。全体の厚さは600〜700μm程度で、他の電子的放射線検出センサに比べ薄く、軽量、コンパクトで、平面性と柔軟性に優れている。
X線透過試験において、フィルムの代わりに配置することにより、図15のように試験体を透過したX線がイメージングプレートに照射される。この放射線量に比例して蛍光体が反応し、それらが全面に分布した形で一時的に記憶される。
次にこのイメージングプレートを処理装置にセットして赤色のレーザ光を照射すると放射線が照射されたところはその強度に応じて輝尽発光する。これを電子的エネルギーとして取り込むと、通常のフィルムと同様な透過写真画像が再現できる。この時のデータは電気信号として記憶しているため、各種の信号処理により最適な画像を得ることが可能となる。

図15 イメージングプレートの処理手順
例えば、図16のように保温配管を撮影した場合、通常のフィルムを用いると画像が不鮮明になるが、イメージングプレートを用いるとエッジ強調やコントラストの最適化などの画像処理により保温材の中の配管の様子が鮮明に観察できる。
イメージングプレートの特長は以下の通りである。
・高感度で測定エネルギー範囲が広い
・広範囲で直線性に優れている
・空間分解能が高い
・データの消去により繰返し再利用が可能
・写真処理が不要

図16 イメージングプレートによる保温配管の撮影








