WE-COM 最新号トップへ(WE-COM会員のみ) | この号のトップへ | WE-COM バックナンバートップへ

放射線透過試験の最近の動向

8.まとめ

以上述べてきたデジタルRTについて、フィルムを用いた放射線透過試験(F-RT)と比較したときの特徴(長所及び問題点)をまとめると以下の通りである。

(1) 長所

・数値計測が可能(定量的な試験結果の評価)

・比較的高感度(照射時間の短縮、試験の効率化)

・写真処理が不要(再撮影の回避)

・ダイナミックレンジが増大(肉厚変動の大きい試験体の撮影などに有利)

・画像処理による画質の改善(画像の鮮明化、最適化)

・画像保存の利便性(経年変化の調査等)

・記録の電子化(結果の出力の多様性)

(2) 問題点

・分解能が画素サイズ(画素数)に依存

・比較的初期コストが高い

・規格化・標準化が必要

ただし、すでに述べたようにデジタルRTには多くの種類があり、それぞれ手法ごとに特徴が異なる。これらの特徴を十分に理解した上で、種々の対象物及び目的にあった方法を選定することが重要である。

規格化・標準化に関しては、2017年にデジタルRTに関する以下のJISがISO 17636-2のMODとして制定された11)

“JIS Z 3110:2017 「溶接継手の放射線透過試験方法−デジタル検出器によるX線及びγ線撮影技術」”

なお、適用に当たっては、本文中に以下の記載がある。

1. 適用範囲:“デジタルラジオグラフィを適用する場合、フィルムラジオグラフィとの類似及び相違に配慮する必要がある。”

5.1 分類及び適用:“デジタル撮影技法の選択は、契約当事者間で合意しなければならない。”

6.7 像質計及び透過度計の種類及び配置:“像質は、JIS Z 2307に基づく像質計及びJIS Z 2306に基づく透過度計を使用して確認する。”

すなわち、フィルムとの違いを関係者が理解した上で、契約当事者間での合意に基づいて用いることを基本としている。また、併せて以下のJISも制定され、引用されている。

“JIS Z 2307:2017 放射線透過試験用複線形像質計による像不鮮鋭度の決定(ISO 19232-5)”

一方、現状では、以下の協会規格にイメージングプレートを用いたCRが引用されているが、今後は関連する法規、規格・基準などの動きに着目する必要がある。

日本電気協会 原子力規格委員会JEAG4224-2009

「原子力発電所の設備診断に関する技術指針―放射線肉厚診断技術」

日本機械学会(JSME S TB1-2009)発電用火力設備規格

「火力設備配管減肉管理技術規格、附属書1 規格本体7.1項(点検(試験)方法)の(2)から(8)の試験方法を採用する場合の規定、放射線透過画像検査による試験」

 

参考文献

1) 溶接学会編:新版溶接・接合技術入門、pp.309-314(2008)

2) 溶接学会・日本溶接協会編:溶接・接合技術総論、pp.416-425(2015)

3) 松田:デジタルX線非破壊検査技術、日本真空学会、Journal of Vacuum Society of Japan、Vol 54、No.1、pp.13-20(2011)

4) 篠田:デジタルRT技術について、溶接学会誌、Vol.81、No.4、pp.28-34(2012)

5) 富澤:種々のX線画像化センサのしくみと特徴及び最近の動向、非破壊検査、Vol.63、No.5、pp.221-231(2014)

6) 成川:最新のコンピューテッド・ラジオグラフィについて、非破壊検査、Vol.61、No.4、pp.141-147(2012)

7) 瀧日他:X線ラインセンサカメラの最新情報と最近の動向、非破壊検査、Vol.63、No.5、pp.237-242(2014)

8) 高村他:X線透視・CT用FPDの選定ポイントと最近の動向、非破壊検査、Vol.63、No.5、pp.232-236(2014)

9) 藤井:マイクロCT、非破壊検査Vol.54、No.5、pp.228-232(2005)

10) 大牟田:高エネルギーX線CT装置、検査技術、Vol 20、No.2、pp.13-20(2015)

11) 大岡他:詳解非破壊検査ガイドブック第2版、日本規格協会、pp.64-81(2018)

< 略 歴 >

横 野 泰 和
(よこの よしかず)

1975年 大阪大学 工学部 溶接工学科 卒業

2000年 非破壊検査株式会社 東京安全工学研究所 取締役所長

2002年 工学博士(徳島大学) 取得

2004年 ポニー工業株式会社 技術本部 常務取締役本部長

2009年 ポニー工業株式会社 代表取締役社長

2018年 ポニー工業株式会社 取締役副会長

現在に至る


(WE-COM会員のみ)