相談例40.すみ肉溶接ビード止端部の仕上げについて
SM490鋼に、マグ溶接で脚長12mmの水平すみ肉溶接を行っています。溶接後、止端部をグラインダで平滑に仕上げるのですが、母材への削り込み量および止端部形状が気になっています。削り込み量および止端部形状の基準を教えて下さい。
回答
"建築工事標準仕様書 JASS 6 鉄骨工事"では、前面すみ肉溶接は0.3mm以下、側面すみ肉溶接は0.5mm以下のアンダカットが許されています。同様に"道路橋示方書・同解説"では、0.3〜0.5mm以下が、"日本鋼船工作法精度標準(JSQS)"では、0.8mm以下のアンダカットが許されています。止端処理時には、このアンダカットを除去する必要がありますので、許容アンダカット深さが、許容削り込み量の目安となります。溶接止端仕上げについては、(一社)日本橋梁建設協会から、"溶接止端仕上げの手引き"(平成24年4月)が出版されており、詳しく記述されています。この手引きから、回答を纏めますと次のようになります。
(1) バーグラインダで止端処理をする。
(2) 削り込み量は、アンダカットの許容値0.3mm程度を目安とする。(0.5mm程度
まで) 止端部の曲率半径は3R以上。
(3) グラインダ加工で切欠きを作らないように技量訓練を行い、十分な技量を有する者
にグラインダ作業を限定するのが望ましい。
また、IIWの"鋼・アルミ構造の溶接後改善処理の指針(案)"(2009)では、次のようになっています。
(1) 削り込み深さ:アンダカットを除去するために、少なくとも0.5mm以上。板厚の
7%、かつ3mm以下。(ただし小さいほうが望ましく、最大1mm以下が良い)
(2) 止端部の曲率半径:0.25t以上(tは板厚)、かつ4d以上(dは母材削り込み量)。
上記手引き(指針)および製品に適用される規格を基に、設計者と相談の上、止端処理要領を決めて下さい。