3.摩擦攪拌接合の特徴
摩擦攪拌接合の特長をまとめると以下のようになる2)。
- (1) 固相接合であるので、接合部における結晶粒の粗大化が抑制され、強度低下が小さい。また、回転ツールによる攪拌効果(強加工)のため、最終的な結晶粒は微細化され、鉄鋼材料などでは、母材より強度が向上する場合も多い。
- (2) 図5に示すように、接合部中央には、攪拌部と言われる数百nm〜数μmの等軸晶からなる再結晶組織が存在する。攪拌部の外側には、塑性変形により結晶粒が伸びた形状を持つ熱加工影響部(Thermo-Mechanically Affected Zone、TMAZ)、その外側には、塑性変形は受けていないものの、熱の影響を受けた熱影響部(Heat Affected Zone、HAZ)が存在する。図614)は、工業用純アルミニウムA1100 のFSW継手の各箇所の組織である。
- (3) 接合温度が低いため、変形が小さく、アーク溶接(ミグ溶接)の数分の1以下である。
- (4) 界面で厚い反応層(金属間化合物層等)が生成しにくいので、異種材料の接合に適している。
- (5) アルミニウム合金の接合の場合には、シールドガスが不要である。鉄鋼材料の場合にも不要であるが、良好な外観が要求される場合には、必要である。
- (6) 鉄鋼材料では、高張力鋼など一部の材料を除いてHAZが生じにくい。
- (7) 鉄鋼材料の場合、A1点(変態温度)以下での接合が可能なので、鋼材の炭素量の影響を受けずに接合できる。
- (8) 一般的に、開先加工や接合時の前処理が不要である。
- (9) 接合中にヒューム、スパッタ、紫外線等の発生がなく、気孔、割れなどが発生しにくい。
- (10) 原則、フィラーが不要。逆に、強化粒子や反応性薄膜等を意図的に加えることは可
能である。

図5 断面組織の模式図

図6 A1100 FSW継手の断面組織14)
一方、以下のような制約がある。
- (1) 剛性のある拘束治具が必要である。
- (2) ギャップの許容範囲が狭いため、接合部の目違い、ギャップの制御が必要である。
- (3) すみ肉継手などの複雑形状の部材の接合が困難である。
- (4) 接合終端部に穴が残る。
- (5) 裏面にキッシングボンド(Kissing Bond)といわれる未接合部が生成しやすい。
- (6) 高融点の金属材料に対しては、ツールの寿命が短く、接合長あたりのコストが高い。
しかし、これらの問題点に関しても、これまでにさまざまな角度から検討され、解決の方向にある。詳細については、最近の解説13,15,16)や教科書2)を参考にして頂きたい。








