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鉄道車両へのFSW実用化

3. 車両への実用化

3.1 FSWツール

今日までに提案されているFSWの工法について、ツール形体とプローブ動作の観点から分類し図2に示す。本稿では、一般的に広く用いられているショルダーが1個のツールをワンサイドツールと呼ぶことにする。ワンサイドツールは、材料に対してツールの反対側に裏当金(定盤)を配置するもので、プローブ動作の違いにより固定プローブツールと可動プローブツールがある。一方、ボビンツールは上下対向する2つのショルダーをプローブでつなぐ形状で、プローブ動作の違いにより固定ボビンツールと可動ボビンツールがある。ボビンツールの特徴は、

① プローブが材料を完全に貫通するためキッシングボンド(開先ルート部に初期突合せ
面が残存する欠陥)が原理上発生しないこと
 ② 接合に必要な加圧力が対向する2ショルダーにより釣り合い、見かけ上材料に荷重が
負荷されないため、ワンサイドツールで必要となる裏当金が不要なこと
 ③ かくはん部形状が上下対称となり材料の角変形が少ないこと

が挙げられる。これらの理由から、ボビンツールは治具の簡素化や裏当金の設置に制約のある中空形材の接合に適しており、当社は可動ボビンツールをメイン工法として採用している1)

図2 FSW工法の分類

3.2 可動ボビンツール

可動ボビンツールの最大の特徴は、図3に示すように2つのショルダーで被接合材料を挟みかつその間隔を接合中に変化させることができることである。この特徴により、材料の厚みばらつき、突合せギャップ、さらには材料全体のうねり、(例えば長手方向の上下、左右方向の変形ばらつき)に対する裕度が向上する。以下では、可動ボビンツールを単にボビンツールと称して説明する。


図3 可動ボビンツールの動作

ワンサイドツールとボビンツールによる接合部外観と断面マクロ写真を図4に示す。ワンサイドツールと比較し、ボビンツールを用いた施工では上・下面でかくはん領域が対称な形状であり、両面に円弧状のツールマークが付いている。


図4 ツール形体による接合部外観および断面マクロの違い

図5は中空形材と治具の一例である。このような非常に簡素な治具でも長尺部材の施工ができるため、設備費用が削減できる。


図5 中空形材(側パネル)と治具

3.3 実用化例

このツールによる接合事例を紹介する。前述の図5は構体の側面パネル、図6は床パネルである。図5の側面部材は長さおよそ20mの中空形材2本で構成され、表面および裏面を接合する。この際、表面を接合後、パネルを反転し裏面側を上にして接合を行う。図6の床パネルは、ソリッド形材(面板にTリブ補強のある形材、8本)を接合したもので、長さはおよそ15mである。部材の厚みは2〜4mmであり、写真からもわかるように接合歪(変形)は非常に少なく、きれいな仕上がりである。


図6 床部材(可動ボビンツールによる施工)


(WE-COM会員のみ)