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第16回

相談例48.アフタフローについて

溶接終了後もシールドガスを2〜3秒程度流し続けるアフタフローが使われていますが、アフタフローの効果や注意点などについて教えてください。

回答

CO2溶接やマグ溶接では、溶融金属が大気(空気)に曝されると、大気中の酸素(O2)や窒素(N2)が溶融金属中に侵入し、凝固時に取り残されたO2やN2が気孔(ブローホールおよびピット)発生の要因となります。そのため、大気中のO2やN2から溶融金属(溶融池)を保護することを目的としてシールドガスを使用します。

このシールドガスの役割は溶接終了後も同じで、溶接終了と同時にシールドガスの供給を停止すると、高温のクレータ部は大気に曝されシールド不良が生じます。そのためクレータ部が大気に曝されても問題を生じない温度に下がるまでシールドガスの流出を続けることが必要になります。これがアフタフローで、良好な溶接を行うために必須の行為です。

アフタフロー時間の設定値はメーカーや機種によって多少異なりますが、一般的な半自動溶接機では、通常0.4〜0.5秒程度に初期設定されています。しかし、アフタフロー時間の適正値は、溶接条件、被溶接材の材質・継手形状および作業方法などによって異なりますから、状況に応じてアフタフロー時間の設定を調整することが必要です。特に母材への入熱が大きくなる大電流の溶接では、クレータ部の冷却に必要な時間が長くなりますから、アフタフロー時間を10秒程度まで長くすることが必要となります。調整方法の詳細については、当該溶接機の取扱説明書を参照してください。アフタフロー時間は、一般に、クレータ部の赤熱がなくなる時間+αと考えて下さい。

また、アフタフローはクレータ部を大気からシールドするために行うものですから、アフタフロー時間中にトーチをクレータ部から遠ざけることは厳禁です。トーチをクレータ部から引き離すのは、アフタフローが完了してシールドガスの流出が完全に停止した後としなければなりません。


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