WE-COM 最新号トップへ(WE-COM会員のみ) | この号のトップへ | WE-COM バックナンバートップへ

摩擦攪拌接合における塑性流動の可視化技術

5. 流動観察事例

図7(動画)に第1世代の流体(麦芽糖水溶液)を用いた流動観察動画を示す。この流体はニュートン流体ではあるが、粘性の温度依存性が大きいことを利用して予めツールを予備過熱しておき流体の中に圧入して模擬的な温度勾配を発生させている。流体内にはマーカーとしてポリスチレン粒子を懸濁しており、ツール回転に伴ってこれら粒子プローブ先端部周囲に集められ、一部は上部へ移動してFSW攪拌部のような領域を形成していく様子が見える。また、ツールから離れた位置の粒子はほとんど流動しないこともわかる。この観察結果は、透明作動流体を用いることの有用性を示唆する。


図7(動画) 透明作動流体による摩擦攪拌塑性流動の可視化例
(図をクリックすると動画が再生します)

さらに、同流体を用いて、粒子の移動をPIV解析した一例を図8に示す。ここでは静止画像として示しているが、図中の矢印の色が速度(m/s)を、向きは流動の方向を示している。このように、ツール周囲の流動は一様ではないことが見て取れる。もちろん、流体の性質が顕著に表れるので、これと同じことが金属塑性流動で生じるという短絡的な考察は危険である。接合欠陥の発生個所の推定への適用を現在検討中である。


図8 摩擦攪拌塑性流動のPIV解析例

図9(動画)は、異材の重ね接合時の流動を可視化することを目的とした基礎実験データの一例である。用いた流体は第2世代(擬塑性流体)である。図中青く着色した部分は、相対的に高粘性になるように成分調整した。ツール回転にともなってプローブ先端部から青色領域が巻き上げられ、プローブ根元部に近づいていき、根元部のある位置からプローブへと吸い込まれて旋回下降流となってプローブ先端部へ輸送される様子が映し出されている。


図9(動画) 異種材料の接合を想定した摩擦攪拌塑性流動の可視化例
(図をクリックすると動画が再生します)

図10(動画)は、第2世代の流体を用いて、遠ざかるツール後方から眺めた動画像である。ツールの影が消えかけるときに、一瞬オニオンリングのような輪が現れる。流体を用いることで実際の接合時の流動に近いと考えてもよい事例の一つであろう。


図10(動画) ツール後方からの塑性流動可視化例
(図をクリックすると動画が再生します)

図11(動画)は、図3にて紹介した、第3世代の流体を用いた場合の流動映像である。前進側の3か所に赤インク(M1〜M3)、後退側の3か所に緑インク(G1〜G3)を設置しておき、ツールの通過に伴う流動挙動の違いを示している。前進側(図の左側)では赤インクがプローブに巻き込まれ、やがて後方領域に回転痕跡を形成するのに対して、後退側(図の右側)では緑インクがプローブに巻き込まれずそのままの位置で残存することが映っている。すなわち、FSWでの塑性流動の左右非対称性を可視化することができている。



AS (赤インク配置、旋回流)
※動画内では濃度により黄色に見えます

RS (緑インク配置、直線流)
 

図11(動画) AS側とRS側との塑性流動の違い
(図をクリックすると動画が再生します)


(WE-COM会員のみ)