相談例52.溶接走行台車の溶接技能者資格について
半自動溶接を溶接走行台車で行う場合の溶接技能者資格は、どのようになるのでしょうか?半自動溶接の技量資格者が溶接作業すればよいのでしょうか?
回答
溶接走行台車を用いた溶接は自動溶接の範ちゅうに入ります。道路橋示方書では、手溶接、半自動溶接およびサブマージアーク溶接を行う溶接作業者資格について規定されており、サブマージアーク溶接に対しては、少なくともA-2Fの資格を所有する事が望ましいとしています。道路橋示方書では、自動溶接については触れられていませんので、自動溶接の溶接オペレータ技量試験も要求されていません。
しかし、一般的に溶接オペレータには、溶接全般にわたる基礎知識に加え、自動溶接装置の構造、操作、および保守について、十分な技量と経験が要求されています。
溶接走行台車を用いた溶接は半自動溶接を自動化したものですから、一般的に考えると、半自動溶接の資格を保有し、溶接装置の操作についての教育を受け、十分な溶接経験を有する溶接オペレータが作業すれば良いと思われます。
ただし、溶接オペレータの保有資格については、客先承認事項ですから、客先と相談されることをお勧めします。なお、下記情報を参考として下さい。
1) (一社)日本溶接協会では、建築鉄骨ロボット(溶接走行台車は、建築鉄骨ロボットには入りません)溶接オペレータ資格を認証しています。この資格はAW検定協会のロボット溶接オペレータ資格受験条件の1つとなっています。
2) 国内の電気事業法に関わる圧力容器等では自動溶接の技量試験が要求されています。(手溶接等の技量資格に加え、自動溶接機を操作した技量試験が行われます。)
3) ASME “Boiler and Pressure Vessel Code SectionⅧ Division 1”では、溶接オペレータの技量資格について、耐圧部材の溶接には技量試験が必要、非耐圧部材の溶接には不要としています。なお、非耐圧部材の溶接であっても、手溶接および半自動溶接の場合は、技量試験が必要です。