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第22回

相談例66.ガス切断材の溶接性について

ガス切断した材料の溶接品質についての相談です。図4のようにガス切断した鋼板の切断面には酸化被膜ができます。(ハンマーなどで軽い衝撃を加えるとポロポロと剥がれることもある) ①切断面を鋼板に突き当て、T継手のすみ肉溶接を行う場合、溶接欠陥となる可能性は有るのでしょうか? ②また、酸化被膜ということでは、熱間圧延鋼板の黒皮も該当しますが、黒皮はそのままで溶接しております。ガス切断面の酸化膜と熱間圧延鋼板の黒皮とでは溶接品質に与える影響に違いがあるのでしょうか? 


図4 鋼板のガス切断面のT継手すみ肉溶接

回答

溶接では、開先面に水分、油脂、錆、有害な酸化物および有害な異物があってはならず、開先面を清浄にするのが一般常識です。その為、重要構造物の溶接では酸化膜は除去しています。

ガス切断によって生じる表面酸化膜の組成はおおよそ Fe:15%、FeO:50%、Fe2O3(Fe3O4を含む):35%との知見があります1)

ガス切断面にはFeO及びFe2O3が多く残っていると推測されます。これらのうちFe2O3は赤さびであり水分を吸湿しており、それが原因となって溶接欠陥を生じる恐れがあると考えられています。従って、切断面の酸化膜を除去するのが一般的です。

一方、熱間圧延鋼板の黒皮は黒さび(Fe3O4)であり、溶接アークによって完全に分解されれば溶接部に対する悪影響が少ないと推測され、適用する製品規格で要求される溶接品質に応じて、製造事業者の責任で、黒皮を除去せずに溶接されている例が見受けられます。

なお、黒皮が分解されずに残れば溶融金属との濡れを阻害して溶接欠陥の誘因になる可能性があることに留意する必要があります。


(参考文献)

1) 大西巌・水野政夫:溶接叢書”ガス切断及びガス加工”, 産報出版(1970), P.85


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