4.4.3 保守点検
保守点検は,定期的に実施し,損傷した箇所は必ず補修してから使用するようにします。
以下に,日常点検及び保守点検での確認事項の要点を示します。
(1) 日常点検の項目
日常点検は,始業前点検として取扱説明書に指示されている機器固有の点検項目に従って行うようにします。とくに溶接棒ホルダおよび電撃防止装置を使用するときは,表4-4に示す事項の始業点検が,労働安全衛生規則第352条において義務付けられています。
表4-4 溶接棒ホルダおよび電撃防止装置の点検事項
| 指定電気機械器具 | 点検事項 |
| 溶接棒ホルダ | 絶縁防護部分およびホルダ用ケーブルの接続部の損傷の有無 |
| 電撃防止装置 | 作動状態 |
備考:労働安全衛生規則第352条による規定
次に,日常点検の主な事項を示します。
① 溶接機の冷却扇が円滑に回転し,異常音の発生がないこと。
② 通電時の異常な振動や唸り音がないこと。
③ 通電時に異臭がしないこと。
④ 変色や発熱の痕跡がないこと。
⑤ ケーブルの配線途中に,絶縁物の磨耗,損傷および導線が露出した部分がないこと。
⑥ ケーブル接続部の露出(損傷部分)および締め付けの緩みがないこと。
(2) 定期点検項目
定期点検は,半年に一度は次の項目について実施すべきです。
点検作業に際して溶接機のケースを外すときは,溶接機の周囲に囲いをするなど,不用意に他の人が近づかないようにしてから開始します。また,必ず配電箱の開閉器によりすべての入力側電源を切るとともに,溶接機の電源スイッチも切って(電源の2重切りの励行),5分以上経過してから内部の点検を始めます。入力側電源を切っても,溶接機に内臓するコンデンサが充電されていることがあるので,特に高電圧回路部は充電電圧が残っていないことを確認してから作業を行うようにして下さい。
主な遵守項目を次に示します。
① 溶接機器の絶縁抵抗と接地抵抗を測定し,規定値を満足していることを確認する。
② 溶接機器内部は,有資格者が電気系統を総点検する。
③ 溶接機の清掃は,天板,両側板を取り外し,水気を含まない圧縮空気(ドライエアー)で溶接機の内部に堆積している塵や埃を吹き飛ばすようにする。
④ 出力側ケーブル,入力側ケーブルおよび接地線について,日常点検の項で示した点検のポイントを詳細,かつ,入念に点検する。
⑤ 溶接機器に内臓されているオプション機能を使うための,機器の内部の配線の変更やスイッチの切り替えなどの作業は,有資格者が行う。
⑥ 溶接作業場の環境は,事業所によって大きく異なるので,それぞれの環境に応じた独自の点検項目を追加し行う。
引用文献:
1) ボイラー・クレーン・溶接の実務&展望NO.249 (社)ボイラ・クレーン安全協会
2) 新版 アーク溶接技能者教本(社)日本溶接協会監修 産報出版
3) アーク溶接等作業の安全 中央災害防止協会
4) 溶接安全衛生マニュアル 日本溶接協会安全衛生・環境委員会編 産報出版
5) 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置(平成23年6月1日 技術上の指針公示第18号)
6) 建設の安全NO.454 建設業労働災害防止協会
(日本溶接協会・技術アドバイザー 小笠原 仁夫)







