4.3.3 人体の抵抗
電撃の程度は,電圧の高低および人体内を流れる電流の大きさによって異なりますが,感電時の健康状態ならびに電気が人体のどこから入り,どこから抜けたかによっても違ってきます。人体は,そのほとんどが水分であり,皮膚は常に呼吸しているので湿りがちです。したがって人体の電気抵抗(Ω)は,極めて小さく,非常に電気が通りやすい状態にあるといえます。
人体は導体であって電気を通しやすいものですが,皮膚が乾いているか,湿っているかによって接触抵抗が大きく異なります。手足が乾いているときは2,000Ω以上あるが,発汗しているときは800Ω程度に,さらに,衣服が濡れているときなど最悪条件下では皮膚の抵抗は限りなく0Ωに近づきます。一方,人体内部の抵抗は,印加電圧に関係なく,ほぼ500Ωといわれています。
溶接情報センター 動画「アーク溶接作業の安全と衛生 - 確かな溶接作業をするために -」
(05:57〜06:34部分) Playボタンで該当シーンのみ再生します(PCのみ対応)
そこで例えば,交流100Vの充電部に500Ωの人体が接触したと仮定すると,体内を200mAの電流が流れることになります。その結果,筋収縮などが起り充電部から離れることが困難となって,電流が0.5秒以上流れると心室細動を引き起こして死亡する可能性があります。
4.3.4 感電の危険性
感電の危険性の軽重は,感電時の複合的な条件によって左右されますが,主な要因としては,次のようなものがあげられます。
(1) 通電電流の大きさと周波数
(2) 通電時間(電流が人体に流れていた時間)
(3) 通電通路(人体を通過した電流の経路)
(4) 電流の種類(交流,直流の別)
(5) その他(心臓脈動の位相の感電位置など)
溶接情報センター 動画「アーク溶接作業の安全と衛生 - 確かな溶接作業をするために -」
(06:35〜07:01部分) Playボタンで該当シーンのみ再生します(PCのみ対応)
これらの要因から通電時間が長いほど,人体の心臓など重要な部位に電流が流れ危険性は高まります。感電による障害で,最も危険性が高いのは,心室細動(心臓がけいれんを起こし,心臓内部の心室が正常の脈を打てなくなる。)です。その結果,血液の循環機能が停止し,数分以内に死亡するといわれています。溶接の感電による死亡災害の多くは,心室細動によると見られています。一方,心室細動を起す電流値を周波数別に見ると,40〜100Hzです。







