相談例2.非低水素系溶接棒の乾燥
非低水素溶接棒 例えば イルミナイト系溶接棒の乾燥は本当に必要でしょうか。
現場では乾燥しないで10年以上使用しているが何ら問題はありません。
乾燥した棒としない棒を溶接比較してみたが、その差が良く分かりません。
回答
10年間非低水素系溶接棒を乾燥なしで使用されて問題ないとのことですが、貴社では溶接棒を購入してから使用までの期間が短いか、溶接棒保管庫が非常によく整備されているからではないでしょうか?
また、比較試験では外観だけでなく内部品質等も検査されたのでしょうか?
ブローホール、割れ等の欠陥は内在することが多く、外観だけでは検出できないことがあります。
溶接棒の原則にしたがえば、イルメナイト系溶接棒であっても乾燥を推奨します。
現場にて乾燥せず使用して問題ないのは、貴所における溶接棒の保管状態、鋼板(組成、板厚)、構造(拘束状態)、継手形状、溶接条件(電流、運棒、速度)が偶然揃っているために、溶接欠陥が発生しないにすぎません。溶接棒を乾燥する目的は、被覆筒の水分を下げることです。アーク溶接の原理から、溶接棒の水分は可能な限り低く管理すべきです。水分は溶接欠陥、具体的にはブローホールと水素に起因する低温割れの原因となるからです。
なお、日本溶接協会情報センターの「接合・溶接技術 Q & A 1000」では、溶接棒の乾燥に関する下記の情報が記載されていますのでご参照ください。