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第23回

相談例67.圧力容器円筒胴周継手の放射線透過試験(RT)について

板厚35mm、内径3800mmの圧力容器円筒胴周継手(周長は約12m)のRTをJIS Z 3104 附属書2 “鋼管の円周溶接継手の撮影方法及び透過写真の必要条件” に従って行います。内部線源撮影方法(全周同時撮影)の場合、フィルムは規格品で1枚当たり40cm程度ですので、全周で合計30枚のフィルムを用います。ここで、円周上4等分位置(0°、90°、180°、270°)にある4枚のフィルムには、透過度計及び階調計を各1個置きます。この場合、4等分位置以外のフィルムには透過度計及び階調計置かなくても良いのでしょうか? なお、フィルムには鉛文字で通し番号を入れ、撮影した位置が後で分かるように撮影いたします。

回答

JIS Z 3104 附属書2の3.1 内部線源撮影方法では、4等分位置以外のフィルムに透過度計及び階調計を置く必要はありません。しかしながら、実際に実機適用する場合、この撮影配置で「透過写真の必要条件」を満足するか否かを検証することが、重要であると思われます。

1. JIS Z 3104の基本的な考え方: 通常の撮影(図1(a))では、線源の真下で透過厚さが最も小さくなるように試験面に垂直に照射しますので、真下からずれるに従って透過厚さが大きくなり、試験面に対し斜めの照射となります。従って、一般の放射線透過試験ではフィルムの中心より両端に近づくほど像質が低下します。この為、両端近くの透過度計の位置を有効範囲の端と規定しています。しかしながら、今回の内部線源によるパノラマ撮影(図1(b))では、円筒胴の中心に線源を配置するため、周方向のすべての位置で試験面に垂直に照射できます。この為、円周上のどの位置でも同じ撮影条件となります。そこで、原則として円周をほぼ4等分するような対称の位置で透過度計の識別最小線径を確認することを規定しています。この場合、透過写真上で透過度計の位置は規定されてはいません。

               

(a)

(b)

図1 撮影配置

2. 試験対象物に対する撮影条件について: 線源を円筒胴の中心に置いて撮影する場合は、Ir192又はCo60を用いたガンマ線を使用することになりますが、相談の円筒胴の場合、線源・フィルム間距離が2m近くとなり、撮影条件が通常の放射線透過試験の撮影条件とは大きく異なります。この為、要求される像質を満足できるかどうかが疑問です。Co60を用いると、エネルギーが大きいため照射時間を短くすることができますが、像質の低下が懸念されます。エネルギーが小さいIr192を用いると、照射時間が長くなり散乱比が大きくなる傾向となります。いずれの場合でも、JIS Z 3104附属書2の4に規定する透過度計の識別最小線径などの「透過写真の必要条件」を満足することを事前に確認することが重要となります。

3. 実際に適用する場合の当事者間の合意について: 客先から検査を依頼されて実施する場合は、JIS Z 3104に従う場合であっても、使用する機器材料、試験条件などについて発注者の承認が必要です。法令などで規定される特定の検査機関が関わる場合は、JIS等の引用規格の他に具体的な試験方法、試験条件などに関し事前承認を得る必要があります。