WE-COM 最新号トップへ(WE-COM会員のみ) | この号のトップへ | WE-COM バックナンバートップへ

アーク溶接のビデオカメラによる可視化の勘どころ
−民生用ビデオカメラから高速度ビデオカメラまで−

さらに動画2には、ヘリウムTIG溶接時に、バンドパスフィルターを透過して得られた各波長における溶融池周りの画像を示す。アルゴンアークに比べて溶融池が見える波長域が多く、比較的簡単に溶融池の観察を行うことが可能だと言える。これについては、分光計測により、溶融池が見やすい波長域では、強い輝線が無いことを確認している。

動画2:ヘリウム−TIGアーク溶接時の電極と溶融池周りの動画.約0.5s毎に10nmずつ観察波長をスキャン.

4.3 半導体レーザ(LD)を照明に用いた観察

アーク溶接の観察に明るい照明を用いると、溶融池や電極の状況を明瞭に観察できる可能性がある。特に、レーザを照明光として用いて、そのレーザの波長の光だけを透過させるバンドパスフィルターを用いてビデオ撮影を行うことにより、アークの映り込みを消すことが可能となる。比較的入手しやすいと思われる代表的半導体レーザの波長として、808、915、940、976nm等がある。さらに、波長1064 nmのYAGレーザも照明として利用可能かも知れない。これらのレーザ波長と動画1のアークの映り込みが少なかった波長を併せて考えると、一つの選択として976nmの半導体レーザを照明に用いた場合、アーク光を消して溶融池の明瞭な観察が可能になることが推察できる。図5に半導体レーザ装置の一例を示す。(a)は、LDモジュールと電源ユニットが内蔵された空冷30Wまで出力可能な装置である。(b)は、そのLDモジュール部であり、レーザ光はファイバーを通してレンズまで導かれる。図6にそのレーザ出力と波長の関係を示す。レーザ出力の増加に伴い発振波長が長波長側へシフトする。

図5 (a)半導体レーザ装置の一例.半導体レーザとその電源およびコントロールユニットが一式で組み込まれている.(b)組み込まれている公称発振波長976nm、出力30W、空冷式のレーザユニットであり、奥側の強制空冷クーラー部と密着している.レーザ光は、ファイバー伝送可能なため、照明として用いた場合、配置の自由度が高い.

図6 半導体レーザの出力(制御電流)と発振波長の関係.レーザ出力の増加に伴い発振波長が長波長側へシフトする.


(WE-COM会員のみ)