6.5 溶接職場における健康障害の実態
6.5.1 じん肺有所見者の実態
溶接作業者はじん肺発症の危険性が大きいことから,厚生労働省は,昭和56年から粉じん障害防止に関して総合的な対策を策定し,じん肺の撲滅を推進してきています。その結果,じん肺有所見者数および新規有所見者の数が年々減少してきていますが,図6.3が示すように,まだ新規有所見者数が年間250人を超え,じん肺有所見者の総数は5千人を超えています。
これらのじん肺有所見者数のうち,約1/4が溶接作業者で占められているのが現状です。

図6.3 じん肺有所見者数推移
6.5.2 溶接職場におけるヒュームばく露の実態
溶接作業者の粉じんばく露量は,溶接法の種類や溶接電流などのほかに,作業場の風向きや溶接構造物の大小によっても異なりますが,アーク溶接作業者がヒュームに暴露する濃度は,測定例(図6.4)が示すように,アーク点が常に作業者の口元直下にあることから,必然的に高い濃度になっていることを認識しなければなりません。

図 6.4 屋内工場における溶接ヒュームばく露濃度の時間変動(一例)
「溶接ヒューム」についての解説は次号にも続きます。次号では「ヒュームの吸引防止対策」について解説します。
(日本溶接協会・技術アドバイザー 小笠原 仁夫)







