3.2 クリーンMIG溶接法による鋼構造体の施工性能
ティグ溶接並みに溶接金属の酸素量を50ppmm未満にでき、マグ溶接並みの高速、大電流溶接も可能となる高品質でかつ高能率なクリーンMIG溶接が開発され、9%Ni低温用鋼や780~980MPa級高強度鋼などの高能率・高靱化溶接施工に大きな期待がある。
そのためにも、開発されたクリーンMIG溶接プロセスを、実際の構造体製作に利用していくに当たっては、考え得る板厚や継手形状、溶接姿勢に対する適用範囲を把握し、その範囲の中で良好な溶接品質を確認する必要がある。
本報では、高張力鋼HT980を対象として、クリーンMIG溶接の適用性を述べる。クリーンMIG溶接の開発と併せて、予後熱なしで低温割れを起こさず、要求されるじん性と強度を得るための適正な溶接金属組成が提案され、15.6%Cr-7%Ni成分の新開発ミグ溶接ワイヤが開発されている11)。この成分の同軸複層ワイヤ(ワイヤ径:1.6mm)とソリッドワイヤ(ワイヤ径:1.2mm)を用い、本章では、クリーンMIG溶接の各種検証試験の結果を示す。
まず、各種継手の適正条件選定と継手性能結果について述べる。二種類のクリーンMIG溶接プロセスについて、まず突合せ継手における適正施工条件の検討を行った12)。
同軸複層ワイヤを用いるクリーンMIG溶接では、開発ワイヤと定電流特性電源を用いることにより、純アルゴンガスシールドにて比較的大電流、高溶着量の溶接が実現可能であるため、従来のマグ溶接のパス数半減を目標に、板厚25mmに対して狭隘な開先角度30°のV開先片面溶接で検証を試みた。その結果、図19に示すように良好な溶接品質と高強度(980MPa以上)で高靱性(-40℃で衝撃値47J以上)の溶接金属特性を有する継手を得ることができた。

図19 同軸複層ワイヤによるクリーンMIG溶接継手の各種試験結果







